いつも僕のまわりにいる、楽しい仲間たち。







あれ、今日はどうしたのかな?


見渡しても誰もいないや…








そうして不安になってきょろきょろ辺りを見回すと。








―あ!





見つけた、僕の1番…傍に居たい人。





背中を向ける姿に向かって僕は夢中で走って、


そして君の腕を掴む―









―その手は、虚しく空を掴んだ








ふわりと一瞬、吹いた風に君の姿は溶けていった。


その刹那、目の前の世界がブラックアウト。








―君は、何処?


僕以外のモノが何も見えない、僕自身も確認できない…




―僕は、独り?




こんな、本当のひとりぼっち…









……だ、






嫌だ、よ……











      ………、

















「………っ!!」




勢いよく起き上がり目を開けた。



そこにあるのは何も見えない闇でも何も無い真っ白の空間でもなく、






ふたつの木


見慣れた…家の庭。



そこに続く縁側でどうやらうたた寝していたらしいことに気付く。








「お早う」


「…あ、」







静かな声を掛けられ振り返ると、


今、この家にひとりで住む人の姿。






「文彦さん…」


「何か、悪い夢でも見たの?」






とても不安そうな顔してる、そう言って僕の頭を優しく撫でてくれた。


昔と変わらない、懐かしい感じ。







「…は、」


「ん?」


「文彦さんは…寂しくない?」






僕なりに真剣な眼差しで、問い掛けてみた。


そうしたら、ふわりと笑って。







「確かに、この大きな家にひとりは寂しい…けど、睦月が言うような意味では少しも寂しくないよ」


「……」






相変わらず撫でられながら、今聞いた言葉がぐるぐる頭に響いていた。






あ、そういえば。



とても大事な事を思い出して、慌てて訪ねる。






「あの、今、何時!?」


「大丈夫。ちょうどいい頃合いだよ」







返事が返ってくるや否や、遠くから聞こえて来た規則正しい低い音。

耳をぴんと立てて澄ませてみると、その音はだんだんこちらへ近付いて来ている。







そう、君の音。








今までは何となく聞いていた音だったけど、今ならはっきりわかるんだ。









やがてその音はすぐ近くで止まって。








「お迎え行ってくる!」








ぎしぎしと鳴る廊下を走り、僕が玄関に着いたのとその引き戸が引かれたのはほぼ同時。









「お帰り!」







現れた姿に、正面から抱き着いた。



ふわりと風が吹いて微かなオイルの香が鼻をくすぐる。





もちろんその姿が消えることはなく、腕に伝わる温かさに何だか不思議な気持ちになって。









「…ただいま、」











君の声が、僕の心に温かく響くんだ。












*************************************************


ちょっと個人的妄想設定盛り込んでしまいましたーっ

軽く補足させてもらうと、いろいろあって現在文彦さんは誰もいなくなった睦月の実家に住んでます。ちなみに立派な日本家屋(^^)
まあ他にも細かいこと、あるんですが…いつかその辺書けるといいなぁ。



>>Back