バイクの後部は僕の特等席。




今日も仕事場から帰ろうとする、


バイクの後ろにちゃっかり乗り込んで。




体に受ける冷たい乾いた風は少し寒いけど心地良い。




























規則的に響くエンジンの音、


まあまあの速さ、でも本人からしたらのんびりな安全運転で街の中を通り抜けていく。







ふと、



並ぶ建造物の隙間から見え隠れする淡く、明るく輝くモノを正面に捉えた。







「満月かな…」



「綺麗だな」







黄色い、真ん丸の月がぽっかりと低い空に浮かんでいた。





振り向かない、いや出来ないけれどちゃんと僕の言葉には答えてくれる、


そんな暖かい背中にまた言葉を投げ掛ける。







「月って…何時も表側しか見せてくれないの、知ってる?」



「まぁ、一応はな」



「月ってシャイな子なんだねぇ…」






返事が、返ってこない。


今は背中しか見えないからわからないけど、きっとあの顔をしてるんだと思う。




僕がふと何か言ったときに見せる、


少し困ったような呆れたような、でもどこか幸せそうな顔。



そんな顔を思い浮かべながら、また話を続ける。








「可愛いなぁ…裏側見られたら恥ずかしいのかな?」



「夢壊すようで悪いけど…本当の理由、知ってるか?」



「うん、ちゃんと知ってるよ!でも照れやさんなら可愛いと思うのに…」








ははは、と笑い声が聞こえた。




「ホント、お前の考えることは面白いよ」



「独創的と言ってほしいなぁ」



「どのみち変だろ?」



「変って何だよー」






少しむくれる僕。


でも、すぐ傍に聞こえる笑い声で、つられて笑顔。






















そうしてほんの少しスピードが緩んで。




真ん丸に浮かぶ可愛いお月様を眺めながら、


のんびり、ゆっくり、走ってく。








「このまま真っ直ぐ走ってれば…月まで行けそうな気がしない?」








色んな話をして、笑いあって。


普通でも、ありきたりでも、




共に過ごせば、幸せな日々。








君と一緒なら、何処へだって行けるような――





















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ほのぼのヒュ睦シリーズ〜

やっぱりね、バイクってのがポイントだよね!!
後ろにちゃっかり乗るとかヤバイおいしい(>_<)

もう睦月が後ろからぎゅーってして、ふたりで何処までも走って行くがいいさ!((笑



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